潮が引いた時にだけ現れる。海の中の「ハートロック」

島景

2016/03/05

ペン

別府亮

ハートロック

奄美北部にハートの形をした隠れたパワースポットがあります。

その名は、「ハートロック」。

「ハートロック」は赤尾木の東海岸にあります。県道沿いから海岸を歩いていっても行けますが、私が個人的に好きなのは森を抜ける小道を通るルートです。アダンのトンネルへ続く道は南の島感にあふれています。

群生するアダンのトンネル

アダンはタコノキ科の植物で、幹からタコの足のようにたくさんの気根が生えていて、パイナップルのような実がなる植物。海岸線のアダンは奄美ではよく見る風景ですが、密集して群生するアダンの中を通れる場所はそうありません。

ただ、茂みを歩くのでハブに気をつけましょう。ハブは夜行性ですので昼間は滅多に現れませんが、草むらなどで休んでいることがあります。足元が見えない所へは入らないよう気をつけ、なるべく道の真ん中を通るか、棒などで地面をかき分け、つつきながら歩くと安心ですよ。

独特な枝ぶりをしたアダンのトンネルを 進んでいくと、やがて潮騒の音が聞こえてきます。

歩むほどに高まる海の気配。

ふと気 づけば地面はいつしか砂に変わっていて、アダンの向こうにはまぶしい光。

アダンのトンネルから見える海

海だー!とつい駆け出したくなります。

海辺に出たら「ハートロック」はすぐそこです。海へ下りながら砂浜を右方向へ歩きましょう。潮が引いていれば波うちぎわに岩礁が見えるはずです。歩いて行くと二つ目の大きな岩礁に「ハートロック」はあります。そこらの岩礁には大小の浸食された穴がいくつもありますが、「ハートロック」はその中でもひときわ大きく、きれいなハート型をしています。

「ハートロック」はハートの形をした潮だまりなのです。

干潮のハートロック

波うちぎわにあるため、「ハートロック」は潮が満ちるとすっぽりと海中に隠れてしまいます。ある意味、本当に隠れたパワースポットなのです。ですから「ハートロック」を見るために一番大事なポイントは、”潮見表など で干潮時刻を調べ、潮が引いた時に合わせて訪れる”ことです。

潮が満ちてしまうと「ハートロック」は海の中。次の干潮まで、海中でパワーを育んでいることでしょう。

朝日に輝くハートロック

月の引力によって、干潮時刻は日に日に移り変わっていきます。「ハートロック」が真っ昼間に見られる日もあれば、朝夕に見られる日もあります。もちろん真夜中にも干潮はやってきます。例えば朝日に輝く姿を見たいなら、チャンスは月数回、しかも東海岸に日が昇るのは冬場だけなのです。

あなただけの「ハートロック」に、出会えますように。

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この記事を書いたフォトライター

別府亮

別府亮

写真家。1974年生まれ。生活圏のすぐそばでダイナミックな表情を見せる奄美の風景が、主な被写体。とはいえ頼まれれば何でも撮ります。シャッターを切っている時が一番幸せ。毎日の撮影記録はHP「奄美大島探検マップ」(https://www.amamicco.net/)にて公開。奄美生まれ奄美育ち奄美大島在住。

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