奄美についたら「新港喫茶シャーク」で朝食を。映画のワンシーンのような思い出を作ろう。

島食

2019/03/09

ペン

ムラタ マチヨ

奄美大島はいわずと知れた離島。

空からの入り込みもあるし、海から入ってくる人もいる。鹿児島本土の方面から毎日やってくる船が名瀬新港に到着するのは午前5時ごろ。

まだ夜明けに満たない時間に船から陸にあがったばかりの旅人を出迎えてくれる、昔懐かしい雰囲気の喫茶店を紹介しよう。

 

名瀬新港の喫茶シャークのランプシェード

「新港喫茶 シャーク」

名瀬港の待合所横にある軽食喫茶だ。

名瀬新港の喫茶シャークの入口

「SHARK」と書かれた赤い電飾看板の上には小さなサメが乗っている。

名瀬新港の喫茶シャークの店内

ヴィンテージを感じさせつつ手入れされた店内。なんだか山田洋次監督の映画に出てきそう。

貼られたメニューを眺めると、定食、カレー、カツカレー、オムカレー、ハンバーグカレー・・・

カツ丼や鍋焼きうどん、焼きめしなんかもある。朝からガッツリいくのもいいな。

今回は朝のサービスメニュー、モーニングセットを注文。洋食か和食を選ぶことができる。

 

しばらく港に停留していたフェリーが離れ、再び静かになった港。

厨房からは、卵が焼ける音と朝ごはんのいい匂いが漂ってくる。

ああ、お腹がすいてきた!

出てきた洋食・和食のセット。税込500円にしてどちらもしっかりとしたボリュームだ。

名瀬新港の喫茶シャークの洋食セット

名瀬新港の喫茶シャークの和食のセット

洋食にはコーヒー、和食にはお味噌汁が付いてくる。

一口するだけで、体と心が緩んでいくのが分かる。

この日の和食セットには幸運にも「長命草」のてんぷらが添えられていた。

島外の人には聞き慣れないかもしれないが、その名のとおり強い生命力をもつ健康食材だ。

温暖な地域の限られた場所でしか採れず、高級食材でもある。

フキノトウにも似たわずかな苦みと旨味があり、食べやすい天ぷらは人気。

これで旅の力もつきそうだ。

名瀬新港の喫茶シャークの店主鮫島さん

「島外から来た方には、奄美が長寿の島だということは話すようにしています」

とおっしゃるのはこの店の鮫島さん。

「鮫」島さんで、新港喫茶「シャーク」。なるほどである。

ちょっぴりシャイで、飾らず控えめな喋り口はいかにも「島っちゅ」だが、御年80歳を超えるにも関わらずシャンと伸びた背筋と、ハイカラなテンガロンハットにスカーフ。

それに毎朝午前4時にこの店を開けていることを考えれば、只者ではないことは安易に想像できる。

喫茶シャークの店主の鮫島さんの立ち姿

姿勢の良さが見ていて気持ちがいい。

喫茶シャークの前身は同じ場所にあった「新港喫茶」。鮫島さんが13年ほど前に引き継ぎ、名前を変えて「シャーク」の歴史が始まった。

朝は鮫島さん、昼は息子さん、夜は家族、と時間帯でバトンタッチして営業されている。

若い頃に外国船に乗っていたこともあるという鮫島さん、店内の食器や小物にはそのセンスとこだわりが散りばめられている。

少し話してみると、一見控えめで丁寧な話し方の中に秘めた青年の情熱のようなものを感じる。

喫茶シャークに残る旅人たちの置手紙や海外から届いた手紙の山

鮫島さんの人柄に惹かれる旅人たちも多いことだろう。

旅人たちの置手紙や海外から届いた手紙の山を見せていただいた。

老若男女、海を越えて旅に来て、ここで鮫島さんと話をして、何かを得て帰って行ったのだろう。

「奄美に来てよかった」。そんな言葉を見ると私まで嬉しくなる。

多くの人が旅に期待するものがここにはあるのかもしれない。

厨房で鍋を振る喫茶シャークの鮫島さん

厨房で鍋を振る鮫島さん。今はお休みしているがバイクで一人旅をするのも大好きだそう。

 

店内を見渡すと、いろんな物があちこちに宝のように潜んでいる。

名瀬新港の喫茶シャークの店内にある鮫島さんコレクション

テレビ下に並ぶディスクたち。映画が大好きだったという鮫島さんのコレクション。

上を見ればアーチェリーの立派な弓も飾ってある。

お酒もなんだか年代物が置いてある。立派なハブが口を開けて入っているハブ酒もある。

名瀬港を作るときに海の底にあったという大きなサンゴ礁。

冷蔵庫には折り紙のヤッコさん・・・

喫茶シャークに飾られた折り紙のヤッコさん

旅の人が折っていったのだろうか。その下には千羽鶴も。

喫茶シャークの店内に貼られた新聞記事

壁には島内のハブ咬傷件数や、100歳以上人口の新聞記事が貼られている。

理由を尋ねると「よく聞かれるけれど、いいかげんなことは言えないから」。

そんなところにも鮫島さんの真摯な人柄が垣間見える。

 

今回はモーニングセットを頂いたが、それ以外のメニューも豊富。

奄美の懐かしい味!と銘打った「新港らーめん」。

70年ほど前、奄美にあった「らーめん」の味を再現したものだそう。

詳細は敢えて書かないが、この「らーめん」にはすごいドラマが隠されている。

ぜひ店舗で鮫島さんに話を聞いてみてほしい。

 

奄美の郷土料理「油そうめん」も頂ける。

持ち帰りできる「カツサンド」や「ハンバーグサンド」も人気。

買って旅のお供にするもよし、帰りのフェリーで食べるもよし、夜食にもよし。

名瀬港は奄美市名瀬塩浜町、奄美の中心街からすぐと便利も良い。

ぜひフェリーを使わず来た人にも、島っちゅたちにもおすすめしたい。

 

食後のコーヒー片手についつい長話をしていたら、空が白んできた。

今日はどんなことをしよう。きっと良いことがありそうだ。

「新港喫茶シャーク」で朝食を食べて、元気に島を探索しよう!

《飲食店の詳細は のんびり奄美で掲載中!》

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この記事を書いたフォトライター

ムラタ マチヨ

ムラタ マチヨ

福岡県出身。二児の母。13年間東京で暮らし、2018年春に夫のふるさとである奄美大島に移住。元々は都会が好きで、移住には不安も感じていたが、奄美の人や文化に触れ今ではすっかり島の魅力に取り憑かれている。外から移住したからこそ分かる島の良さ、楽しいことをたくさん発信していきたい。

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