天の川ハンターと行く奄美星空紀行VOL.6|加計呂麻島エリア

島景

2019/02/25

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しーまブログ編集部

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都会では決して見ることのできない美しい星空の魅力について、奄美大島の星を追いかけている「天の川ハンター」荒木マサヒロさんに、全6回でレポートしてもらいます。

今回は最終回、奄美大島の南に位置する加計呂麻島エリアを巡ってみましょう。

いまから紹介する星空に実際に会いに、ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

■天の川ハンターと行く奄美星空紀行(全6回)■

vol.1 笠利・龍郷エリア
vol.2 名瀬・住用エリア
vol.3 大和村エリア
vol.4 宇検村エリア
vol.5 瀬戸内町エリア

 

加計呂麻島の天の川は最強レベル

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撮影日時:2017年8月25日22時43分 くじらの見える丘

※このように立ち上がった天の川は頭上を通り真後ろに続く大きな天の川のアーチとなる。ちょっと先になるが5月中旬の明け方くらいから見頃となり10月中旬くらいまで続く。

天の川には淡い光を放つ小さな星がいっぱいあり過ぎて雲のように見える。例えて言うなら星の群れ。ご存知のように都会では残念ながら見ることはできない。同じ地球なので天の川は都会にも存在してはいる。僕らは明りを得る代わりに星々を自ら見えなくしてしまっている。

冬は空気が澄んでいて星が綺麗に見えるというが、どんなに空気が綺麗でも明るいところではこの淡い光は僕らには届かない。暗ければ暗いほど多くの星々に出会うことができる。

加計呂麻島の夜は深い。月明かりがないと星々の明かりだけになる。身体が揺れると星も揺れる。星の存在がよくわかる。光を求めて視神経の感度がこれまでに使ったことがない極限まで少しずつ増感されていく。普段の感度のままだと感動するほどの星を見ることはできないだろう。20分ほどすると感度はMAXになり明らかに星が増えていることに気づかされる。これが自然と同化していくのに必要な時間。少しずつだけどじっと待っていると、スキルなしで誰もが得られる人間が持ちあわせている能力だ。この能力を生きている間に使ってみてはどうだろうか。加計呂麻島で。

 

波の音を聞きながら星空観望。〜 嘉入(かにゅう)集落

奄美_星空_天の川_嘉入の滝加計呂麻島でのオススメは波の音を聞きながらの星空観望。ここ嘉入集落は街灯も少なくビーチまで数十歩と立地条件抜群のところにゲストハウス「カムディ」がある。
※加計呂麻島にはこの体験ができる宿がほぼ各集落にある。

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撮影日時:2016年7月4日22時52分

街灯に照らされている集落の南側も山の上には天の川。山の向こうには西阿室(にしあむろ)集落がある。夏を待たずに3月下旬の明け方くらいからこのように天の川を見られるようになる。

波の音を聞きながら浜に下りてみよう。できれば干潮のときがいい。少し離れるだけで集落の街灯の明かりを避けられるだけでなく視野も広がる。そして振り返ってみよう。滞在している集落の頭上にもたくさんの星が。星や星座を探しながら見ているうちに次第に眼も暗さに慣れ多くの星が見えてくる。

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撮影日時:2016年7月5日3時45分

嘉入集落の浜辺は南西を向いている。天の川観望には南東から南西の視界がひらけているところが適している。夏の天の川は西阿室があるほうの尾根から姿を現し、次第に西に傾きながら見渡すビーチの中央まで移動する。正面には須子茂離(すこもばなれ)、その右には夕離(ゆうばなれ)。波の音を聴きながらの天の川観望。こんな贅沢な時間をここでは味わえる。

 

諸鈍長浜(しょどんながはま)公園で見る天の川

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諸鈍湾(しょどんわん)

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撮影日時:2017年8月23日20時52分
諸鈍長浜公園

加計呂麻島で一番大きくよく整備された公園。公園の駐車場は広く奥にトイレがある。公園入口の左手奥にデイゴ並木。右手に広く白砂の長浜が続く。
正面には請島(うけじま)・請阿室(うけあむろ )集落の明かりが見える。暗くなると集落の位置がわかりやすい。公園から見ると赤色灯台の方が南になる。背後にある山は高くないのでデイゴ並木の上から昇ってくる夏の天の川を観望できる。夏はスコールもあるのでスマホで雨雲のチェックもしておこう。

 

夕日の絶景ポイントは空のレンジも桁違い。〜 タカテルポイント

タカテルポイント_奄美
タカテルポイントから西阿室を望む。オススメは明るいうちに行って夕日を見てそのまま星空観望。この高さからの眺望は海面を面として捉えその面の動きがよくわかる大海原眺望ポイントでもある。ここを作って解放していただいた方に感謝です。

タカテルポイント_奄美_星空
星空観望を目的として暗くなるまで待つ時間がまた楽しい。マジックアワーから夜の帳が下り、真っ暗になるまで空色の変化が海面も染めながら変化していく。この4点の写真は一日の移り変わり。このように並べてみるとその楽しさがお分かりいただけると思います。

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撮影日時:2017年8月25日20時08分
「月・イナズマ・天の川」

この日は三日月。三日月といっても月のパワーはすごい。その明かりは雲を突き抜けてくる。月明かりを反射する海面が眩しい。月と天の川の間のオレンジ色の閃光にお気付きですか?徳之島あたりでイナズマです。音は聞こえず、花火のように左から右に移動しながら30分ほど続いてました。月没まであと1時間。

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撮影日時:2017年8月25日21時54分
「ホタルと天の川」

月も沈んでからタイムラプスをスタート。数匹のホタルが点灯したままフワフワと背後を浮遊しているのを見ながら、カメラの前を通らないかなぁと思っていたら一匹のホタルが。水辺ではなく山中にいるキイロスジボタルである。数は少なかったが星空とホタルを同時に楽しめる夏の加計呂麻島。

※この時のタイムラプス動画はこちら
【キイロスジボタルと天の川】

 

西阿室集落に向かう途中で天の川

奄美_星空_西阿室
瀬相から山を越えてすぐの休憩所からは西阿室集落の立神、与路(よろ)島、その先に徳之島も見える。
奄美_星空_西阿室_天の川撮影日時:2018年7月15日23時16分

この休憩所から臨むと西阿室集落は南西になる。
周囲には明かりがなく明かりは星々からの光だけ。ここからの天の川もまたまた格別。
右下に西阿室集落があり集落の向こうには与路島が見える。この時の天の川は木星(右)と火星(左)を従えていた。惑星は移動するのでこの位置にはいないが西阿室に向かう途中で車を停めて見る価値はある。

 

集落の街灯が消えると宇宙が近くなる。〜 2018年西阿室星空観望会

奄美_星空_西阿室
撮影日時:2018年7月15日21時06分
「親子で天の川を見よう」星空観望会場
観望会が終わってもまだまだ星空を楽しんでいるファミリーもいましたよ。

昨年夏に西阿室集落のみなさんのご協力を得て、西阿室小学校のみなさんを中心に「親子で天の川を見よう」を開催。みんなで寝転んで星空を見るって楽しいですよ!今年も予定しています。どうぞご参加ください。

 

須子茂(すこも)集落と天の川

奄美_星空_天の川

奄美_星空_須子茂
撮影日時:2017年8月22日21時26分

須子茂集落の頭上に天の川。天の川の中に右肩が上がったカシオペア座がある。その横にはアンドロメダ大銀河(アンドロメダ座大星雲)があり、その横にペガススの大四辺形(秋の四辺形)。
この天の川がアーチとなってはくちょう座、わし座、いて座、さそり座と続き、さそり座はほぼ横になっている。集落の奥の尾根あたりが明るいのは古仁屋(こにや)の明かり。

 

於斉(おさい)集落からの天の川

奄美_星空_天の川於斉海岸は護岸されたところに道が通っている。 集落を背にすることができるので、街灯も直接目に飛び込むことはないので南側の星空観望には適している。

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撮影日時:2017年8月24日21時57分

夜になると集落が放つ明かりでその集落の位置がよくわかる。於斉の浜辺は南向き、伊子茂(いこも)湾の入り口には請島(うけじま)があり、やや中央の明かりが池地(いけじ)集落、左は請阿室(うけあむろ)集落だ。右の明かりは伊子茂集落の明かり。このように天の川が立ち上がっているときは頭上に天の川のアーチ。このアーチを子供だったらそのまま反り返って見ることができるだろうに。

 

宇宙船に乗った気分

奄美_星空_宇宙船

屋外で見るのと違って車の中から見ていると、宇宙船に乗って宇宙旅行をしている気分になる。このまま宇宙旅行に行けないかなぁ。戻ってきたら知っている人が誰もいなくなっているとか。戻ってこれないかもしれないとか。それでも行ってみたい。
子供とドライブ。寝てていいよ。着いたら起こしてあげるから。起こされた時にこれを見たら幼少期の僕だったら宇宙に飛び出したと思うでしょうね。

今回で最終回となりました。

奄美の星空はまだまだ伝えきれないほどたくさんあります。僕自身の星空撮影も続きます。島内のかたもツーリストのみなさんも機会を見て夜空を見上げてみてください。夜が夜であること。ちょっとだけ感じてみてください。特に子供たちには奄美の美しい星空も記憶しておいて欲しいと願っています。島内で育った子供たちにも帰省中のお孫さんにも。「奄美大島・サスティナブル・星空ライフ」をどうぞお楽しみください。ご拝読いただきありがとうございました。

天の川ハンター 荒木マサヒロ

■写真・文章■
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荒木マサヒロ

奄美の自然をこよなく愛すデジタルコンテンツクリエイター。天の川ハンターの異名を持ち奄美の天の川を撮り続けている。作品に iBooks「天の川見に行こっと!」シリーズがある。また自ら癒されながら収録している奄美の波音や鳥のさえずりのヒーリングネイチャーサウンドアルバムはハイレゾワールドチャートに登場している。「天の川・トークイベント」「星空撮影ワークショップ」も不定期に実施中。
Facebook 「天の川見に行こっと!奄美・瀬戸内」https://www.facebook.com/nonicotto/

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この記事を書いたフォトライター

しーまブログ編集部

しーまブログ編集部

2010年に誕生した、シマを愛するすべての人々のための奄美群島地域情報サイト。日々あがってくるシマッチュたちのブログを主軸に、編集部が取材したグルメ・不動産・仕事・イベントなどの情報まとめなどを掲載。フリーペーパー「みしょらんガイド」「amammy」も配布中!しーまブログ

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