ネイチャーワンダーアイランド~vol.6|アマミノクロウサギを救え! 交通事故に遭ってしまうアマミノクロウサギたち

うがみんしょ~らん!(こんにちは!)奄美の自然や生きものについてお伝えする本シリーズの第6回目を担当します、奄美野生生物保護センターの晝間(ひるま)です。

ネイチャーワンダーアイランド~vol.1|なぜ奄美大島には希少野生生物が多く残っている?
ネイチャーワンダーアイランド~vol.2|マングローブってどんなところ?
ネイチャーワンダーアイランド~vol.3|外来種の実態、防除の最前線
ネイチャーワンダーアイランド~vol.4|世界中でここにしかいない! 奄美の多様な鳥たち
ネイチャーワンダーアイランド~vol.5|奄美の自然を楽しもう!

 

今回はみなさん一度は名前をきいたことがあるであろう、アマミノクロウサギについてご紹介したいと思います。

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↑アマミノクロウサギ(国指定特別天然記念物)

 

アマミノクロウサギといえば、耳が短く、体は黒っぽい茶色をした、手足の短いずんぐりとした姿が特徴的です。また、奄美大島と徳之島にしか生息していない「固有種」と呼ばれる大変貴重な動物です。夜行性のため夜の林道にいけば、道路上でフンをしていたり食事をしている姿などを見ることができます。動きがはやくないため、ずんぐりとした体をのそのそと動かしながら移動する姿はかわいらしさも覚えます。

 

しかしそんなアマミノクロウサギの交通事故問題をご存じでしょうか。実は、近年アマミノクロウサギの交通事故被害が多発してしまっています。なぜアマミノクロウサギは交通事故に遭ってしまうのでしょうか?

 

アマミノクロウサギは道路のような開けた場所で、食事をしたりフンをしたりする習性があります。これは捕食者であるハブ(有毒の蛇)から身を守るためといわれており、森林内では沢沿いの岩の上や川原などでアマミノクロウサギのフンを多くみることができます。また森林内を通る林道上でも、アマミノクロウサギがフンをしたりエサを食べていることがあります。

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↑道路上に出てきているアマミノクロウサギ

 

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↑道路上で確認できるアマミノクロウサギのフン

このような習性から、道路上に出ている際に交通事故に遭ってしまうことが多くなっているのです。

 

また、アマミノクロウサギは近年、奄美大島と徳之島ともに生息エリアを回復・拡大してきていることがわかっています。これは、森林の回復や、奄美大島では天敵であった外来種のマングースの減少、徳之島ではノネコ(野生化した猫)の捕獲が進められている影響と考えられています。

 

アマミノクロウサギの生息エリアが回復していることは大変良いことですが、その反面、交通事故件数も増えてきているのです。

交通事故件数↑奄美大島と徳之島におけるアマミノクロウサギの交通事故件数

 

しかし、このように交通事故にあうアマミノクロウサギの他にも、車に轢かれてしまう動物はけっして少なくありません。日中であっても車と鳥が接触してしまったり、小さいけれどカエル類やヘビ類なども道路上で轢かれていることがあります。夜は特に視界は悪くなってしまうため、夜行性の動物との接触も気をつけなければいけません。

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↑夜行性であるアマミヤマシギ(絶滅危惧Ⅱ類)

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↑道路上にも出てくるアマミハナサキガエル(絶滅危惧Ⅱ類)

 

奄美には特に本島あるいは奄美群島にしか生息しない生き物がたくさんいます。また少し山の林道に入ればこの生き物たちに出会うことができます。世界的にみても貴重な生き物がこうして私たちの暮らしのそばにいるということは素晴らしいことです。ですから、私たちはよりいっそうこれらの生き物たちに気をつけなければなりません。

 

ではアマミノクロウサギなどの野生動物との交通事故を減らすため、私たち一人一人ができることはなんでしょうか。まず大切なことは、車を運転しているときの速度です。早く走行すればするほど万が一動物と出会ってしまった場合、避けたり止まることが困難になります。また交通事故はカーブのすぐ先や、道路脇が草木で茂っているような見通しの悪い道路での発生が目立っています。絶対に出てこない、避けられると過信するのではなく野生動物が出てくるかもしれないと考慮した運転と速度で走行することが重要です。また交通事故防止看板が設置されている道路は、とくに事故が多発している場所です。十分に気をつけて走行しましょう。

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↑交通事故の発生しやすいカーブ

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↑アマミノクロウサギの交通事故防止看板

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↑道路上にも注意書きがあります

 

しかし実際にアマミノクロウサギや、野生動物を轢いてしまった、あるいは怪我をしている野生動物を発見したときは、どうしたらいいでしょうか?

もしアマミノクロウサギなどの野生動物を車で轢いてしまった場合、故意でなければ罪には問われません。そしてまだ生きているのであれば、治療することで助かる可能性もあります。助けられなかったとしても筋肉や骨など、死骸からも研究材料として貴重なデータが得られることがあります。怪我をしている、あるいは死骸を発見した場合は奄美野生生物保護センターに連絡をお願い致します。0997-55-8620

 

アマミノクロウサギやその他の動物たちの交通事故件数は、ひとりでも多くの方の意識が変われば、必ず減少する数字であると思います。ご自身の安全のためにも安全運転を心がけて、島内の走行には注意しましょう!

 

この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER

奄美群島の自然や生き物に関する展示を行う環境省の施設。

野生生物の調査、外来種対策、自然観察会を通した普及啓発や世界自然遺産登録に向けた取組などを総合的に行う拠点にもなっている。

開館時間:午前9時30分~午後4時30分

休館日:毎週月曜日(祝日を除く)、年末年始(12月29日~1月3日)

住所:鹿児島県大島郡大和村思勝字腰ノ畑551番地

電話:0997-55-8620

管理協力: 鹿児島県自然保護課、奄美群島12市町村

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