加計呂麻島の歴史とともに集落を見守る立神に沈む夕陽「西阿室」

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奄美大島の南部、古仁屋港から船で20分ほどの加計呂麻島。ふたつある港のうちのひとつ、瀬相港から車で10分ほどの西阿室集落は、加計呂麻島内で二番目に大きな集落だ。

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曲がりくねった山道を抜け、集落に入ると大きながじゅまるやでいごに守られるようにある小学校があり、そのまままっすぐ進んでいくと、郵便局や公民館がある集落の中心地につく。堤防沿いには木陰とベンチがあり、ちょっとここで一休みしていけばいいよ、と誘いかけてくれるようだ。
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売店も自販機もない集落もあるけれど、西阿室には夜はバーになるという噂もある商店がある。集落の人々がこの場所を大事にしている気持ちが伝わるようなキュートな花壇もあちこちにある。
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西阿室の大きな特徴は、海にそびえたつ大きな立神(たちがみ)だ。立神とは、島の沖に浮かぶ小島のことである。古くから信仰の対象として知られており、海の彼方にある理想郷、ニライカナイから神さまが来て最初に立ち寄る場所だとして大切にされてきた。
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西阿室集落からは、与路島、徳之島も望める。その手前にそびえたつ大きな岩は、島の人々とともに時を刻んできた。はしごで登れるので、そこで釣りをする人もいるという。

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季節により、夕陽が落ちる場所は違う。海に沈む時、山に沈む時、ちょうど、立神にかかるように沈む時。釣り人は今日の釣果を確認してから空を仰ぎ、犬の散歩をする住民は、夕陽を見上げ目を細める。季節の移り変わりを感じながら、そのすべてを見つめて島の歴史とともにある立神を眺めながら。

「この西阿室集落も、昔と比べりゃいろいろ変わったけれど、立神さまだけはいつまでも変わらないね」

集落に古くから住む住民が、しみじみと言う。

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夕陽の沈む場所は毎日変わる。夕焼けは日々美しいが、同じような雲の色や同じように焼ける空は二度とない。けれど、この立神に沈む夕日を眺めると、きっと何百年も昔の人々も同じようにこの夕陽を「きれいだ」と思いながら眺めたのではないか、と感じられる。
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日々の忙しさに流されて、心許ないような気持ちになった時に。
過去や未来に縛られて、今しかない瞬間を忘れてしまいそうな時に。

日々変わりながらもこの場所にあり続ける立神と夕陽を眺めに行こう。

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鹿児島県大島郡瀬戸内町西阿室

写真協力╱ととろまりん、水谷淳一(西阿室)

鹿児島県大島郡瀬戸内町西阿室

加計呂麻島瀬相港より車で約30分

この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER

作家、ILAND identityプロデューサー。著作に『ろくでなし6TEEN』(小学館)、『腹黒い11人の女』(yours-store)。短編小説『こうげ帖』、『海の上に浮かぶ森のような島は』。2013年、奄美諸島加計呂麻島に移住。小説・コラムの執筆活動をしつつ、2015年加計呂麻島をテーマとしたアパレルブランド、ILAND identityを開始。

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