眼前に広がる東シナ海。知る人ぞ知る、宮古崎ササント

宮古崎ササント

名瀬から車で約30分走った場所に大和村国直集落があります。国直集落からさらに徒歩で約20分ほど歩いた所に宮古崎があり、東シナ海を一望することが出来るという都会では見ることが出来ない景色がそこにはありました。

宮古崎は観光地としてはあまり知られていませんが、地元の人が選ぶ「好きな場所」に挙げられるほど景色がきれいな場所です。

宮古崎は国定公園に指定されており、国道から長い遊歩道を約20分ほど歩かなければならない場所にあります。遊歩道を歩いていると、風の音、鳥のさえずり、波の音など、奄美の自然を肌で感じることができます。

宮古崎ササント

歩いた先には、背の低いリュウキュウチク(琉球竹)が一面に広がっています。辺り一帯を見回すと、そこは奄美っぽくはなく、一瞬、「ここは何処なのだろう?」と感じることがでる不思議な景色。

リュウキュウチクはイネ科の多年草で、葉は線状披針(ひしん)形で長さ約20センチメートル。開花した後は一斉に枯死するが、周期は不明です。鹿児島県南部から沖縄に分布し、八重山(やえやま)諸島山地の節が太い型をゴザダケザサとし、区別する説があります。

宮古崎ササント

宮古崎のリュウキュウチクは、東シナ海からの潮風と痩せた土地のため、大きく育たず、約40センチ位の高さでそろっているといいます。通常だと、高さ5メートルを超えるものもあるようで、地元では笹の草原が広がるのでササント(笹の塔)と呼ばれたようです。

宮古崎の景色

そしてその昔、宮古崎はタイワンヤマツツジの名所といわれ、開花時には岬一体を真っ赤に染めたと言われていました。しかし、盗掘などによって多くが持ち去られ、その姿をほとんど見ることが出来なくなってしまい、絶滅危惧種にも指定された悲しい歴史もあります。

タイワンヤマツツジの特徴として、高さ1~2mの常緑低木。枝先の1個の花芽から2~3個の花が開き、花は朱色または紅紫色、上側の内面に濃色の斑点があります。

近年では、国直青壮年団が宮古崎の美しい景観を復活させようとツツジの育成活動を行っており、その活動の一貫としてウォーキング大会を開催しています。多くの賛同者が宮古崎まで2kmの行程を歩いて、苗木の植樹作業を行い、少しずつではありますが、リュウキュウチクに埋もれて真っ赤に咲くタイワンヤマツツジの姿を確認することが出来るようになったといいます。

地元の方々の植栽の努力で、タイワンヤマツツジの咲く岬としてよみがえりつつあります。
そしていつか、宮古崎一体を真っ赤に染めた姿を見れることを切に願います。

国定公園 宮古崎

場所:大和村国直集落

アクセス:国直集落から2km の遊歩道・徒歩30 分・駐車場あり
※集落内遊歩道入口に駐車場有り・トイレ無し

この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER

フォトグラファー/写真家。古林洋平写真事務所。奄美2世。広告・カタログ・ファッション等の撮影を手掛ける傍ら、ルーツである奄美を独自の視点でとらえ、国内外において写真展等で発表する。また、全国の高校生たちと向き合い、撮影をする「青い春」など、精力的に活動。

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