出来立ての黒糖を購入できる。人気の水間製糖工場潜入レポート

島モノ

2017/05/08

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牧統 大

水間製糖工場の外観

辺りはまだ薄暗く車の往来も少ない午前6時過ぎ、国道沿いに煙がもくもくと上がる工場がある。

ここは龍郷町中勝集落にある、人気の黒糖を作る水間製糖工場だ。

大島紬、黒糖焼酎に並ぶ奄美の特産で、島の暮らしには欠かすことのできない黒糖作りに密着してきた。

水間製糖工場の内観

製糖工場の朝はとても早い。

ほとんどの作業が手作業で、繊細な火加減が必要な黒糖作りはとても時間がかかり、一日に必要な量を確保するため作業は毎朝4時から始まる。

使用しているさとうきびは龍郷町と奄美市笠利町の農家から仕入れたもので、1本1本丁寧にさとうきびを絞り、絞り汁を抽出することから一日が始まる。

昔ながらの平釜を使い、強火で熱せられた釜の前で丹念にアクを取り除き、焦げないように絶妙な火加減で2時間もかけて煮詰める。

水間製糖工場:黒糖製造の様子

そうしてできた黒糖はさとうきびの絞り汁のおよそ1/10の量というから驚きだ。それだけ甘みや旨みが凝縮している証拠だ。

この作業を1日に4-5回繰り返し午前中のうちには製糖作業が終わる。

水間製糖工場の黒糖は、さとうきびの絞り汁のみを煮詰めた純粋な黒糖で、蔗糖(しょとう)や糖蜜を加える「加工黒糖」とは異なりコクが深く、うまみがたっぷり詰まっている。

販売している黒糖は2種類。

よく見かけるブロック状の黒糖と、ほろほろとやや不恰好な鍋かき黒糖がある。

黒糖は煮詰めた後に撹拌(かくはん)機で空気に触れさせないと固まらず、炊きたてあつあつのうちに撹拌機で充分空気に触れさせる必要がある。

水間製糖工場:撹拌前の黒糖

攪拌前の黒糖は水飴のようにトロリとしている。

水間製糖工場:黒糖製造の様子

5分ほど攪拌した後に、切り分けやすいよう平たく伸ばした黒糖。

これをひと通りとった後の攪拌機底にこびりつく黒糖が、「鍋かき黒糖」と言われるものだ。

水間製糖工場:鍋かき黒糖

鍋かき黒糖はほろほろと口の中でとろけるため人気がある。製造量が少ないこともあり、なかなか手に入れることができないレアな黒糖だ。

水間製糖工場:販売棚

水間製糖の黒糖は、その時々のさとうきびの糖度や煮詰める時間などで微妙に味が異なるため、黒糖を炊いた釜ごとに選べるようにディスプレイされており、実際に試食をして購入できるのが人気の秘訣だ。

作りたての黒糖を一口頬張る。

目の前で生まれた黒糖をすぐに食べられるなんてこれほど贅沢なことはない。

奄美へお越しの際はぜひ水間黒糖へ。

きっと忘れられない出来立ての黒糖の味を楽しむことができるはず。

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この記事を書いたフォトライター

牧統 大

牧統 大

合同会社フラスコ代表/デザイナー。奄美市出身。2012年より奄美の特産品を全国へお届けするオンラインショップ「がじゅMarine」を運営。現在は島内外の人と人を繋げるコミュニティショップ「Frasco」を開設し、イベントの企画やフリーペーパの作成など幅広い活動を行っている。

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