西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.1〜りゅうがく館〜

2018年NHK大河ドラマの主人公は、明治維新の立役者である「西郷隆盛」。

生まれと活躍の場は鹿児島本土が中心だが、実は奄美大島に3年ほど住んでいた経歴がある。

激動の時代のなか、ふいに訪れた島暮らし。自然に親しみ、人々とふれあい、家族を持った3年間は、彼の人生のなかでももっとも心穏やかな時であったとも言われる。

奄美大島に残る西郷さんの暮らした龍郷町を中心にその痕跡をたどり、偉人の思いに心を寄せてみたいと思う。

<西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅 全4回>

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.1〜りゅうがく館〜》

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.2〜西郷松跡地〜》

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.3〜西郷南洲第二の潜居地〜》

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.4〜龍郷集落〜》

 

 

西郷さんが暮らした奄美大島龍郷町

龍郷町のりゅうがく館

奄美空港から南に車を走らせること20分。
龍郷町浦にある龍郷町役場前の三叉路には、役場の壁に「西郷隆盛」と書かれた大きな垂れ幕がさがり、信号で車を停めた人の目を引く。

ここ龍郷町は、西郷さんが30代前半の頃、当時の政策に反対する者を処罰していた幕府の目(安政の大獄)から逃れるため、藩命をうけ菊池源吾と名を変え潜居していた場所だ。

この三叉路を右に曲がると、西郷さんが暮らしていたという龍郷集落があり、左に曲がると龍郷町生涯学習センター「りゅうがく館」がある。

西郷さんのことを知るなら、まずはどちらに曲がるべきか・・・。

りゅうがく館には西郷さんに関するコーナーがあると聞いていたので、「まずは少しお勉強してから」と、私はハンドルを左にきった。

 

 

龍郷町生涯学習センター「りゅうがく館」

りゅうがく館外観

りゅうがく館は2017年4月1日に開館したばかりの、まだ新しい真っ白な建物。

文化財展示室、図書館、公民館、防災などの機能を兼ね備えた複合施設で、龍郷町民をはじめ島内外からの来訪者に幅広く利用されている。

入り口へ向かうと、玄関先に記念撮影用の立て看板があった。
さっそく記念にパチリ。

西郷と愛加那の顔ハメパネル

りゅうがく館の方の話だと、西郷さんになりきって撮影するなら、西郷さんの眉毛部分が、自分の眉毛部分に来るよう合わせて撮影すると、かわいらしく撮れるのだとか。

木彫りの西郷と愛加那

入り口ドアが開くと、いきなりドーンと西郷さんの木彫が出迎えてくれる。
隣にいるのは、西郷さんが島で迎えた妻の「愛加那」さん。

説明板には「西郷松を活用した西郷隆盛 愛加那 木彫彫刻」とある。
木彫の材料となった松の木が「西郷松」と呼ばれていたそうなのだが、その話はまた次回の記事で触れたい。

りゅうがく館図書館

中へ入ると、1Fは居心地の良さそうな図書館コーナー。

西郷さん関連の本がないかとウロウロしていると・・・。
あった〜!

西郷関連の本

必要そうな本が親切にまとめて並べてあったので、西郷さんのことを調べたい人には、うってつけの図書館といえる。

1Fの奥には、個別で空調のきいた「学習室」もあり、いかにも勉強がはかどりそうな空間だ。

本に軽く目を通すと、西郷さんが龍郷で暮らしていた頃、島の子ら数名に手習いで読み書きを教えていたという記録が残っていた。

西郷さん自身も13歳の頃、右腕に後遺症を残す傷を負って以来、中国の書を読んだり孔子の道を勉強したりと、学問の道に精進していたとか。

大柄で強そうな侍のイメージが強かった私には、ちょっと意外な西郷さんの一面だった。

 

 

文化財展示室「奄美・龍郷 島ミュージアム」

文化財展示室奄美龍郷島ミュージアム入り口

2Fへあがると左手廊下の奥に、今日のお目当て、
文化財展示室「奄美・龍郷 島ミュージアム」があった。
ここに西郷さんの観覧コーナーがある。

観覧は無料で、入り口の受付名簿に年齢・性別等を記入すれば入室できる。
さすが龍郷町、西郷さんのように懐が大きい!

この展示室には9つのエリアがあり、ひとつひとつを丁寧に見ていくと、龍郷町の文化・歴史・自然について学べ、さらに奄美大島という島の特徴について理解を深めることができる。

1:歴史エリア・・・・先史時代〜現代までの紹介
2:西郷隆盛エリア・・西郷隆盛の龍郷での生活やゆかりの品の紹介
3:自然エリア・・・・龍郷町の自然について紹介
4:地形ジオラマ・・・龍郷町の立体模型
5:島文化シアター・・主な4つの伝統文化についての紹介
6:南島雑話エリア・・1850年頃の奄美を知る貴重な資料の紹介
7:年中行事エリア・・龍郷町の年中行事の紹介
8:シマ歩きエリア・・20集落それぞれの特徴ついて紹介
9:保忠蔵 絵画エリア・龍郷町出身画家の絵画展示

西郷隆盛エリアでは、西郷さんが龍郷でお世話になった人への返礼品として贈ったドンブリや、愛加那さんが身につけていたというかんざし、西郷さんが息子の菊次郎に宛てた手紙などが展示されていた。

西郷の肖像画の前に立つ少女

壁のボードには、西郷さんが龍郷で潜居する身となったいきさつから、明治維新後までの奄美との関わりがわかりやすく説明してある。

西郷さんが一番活躍したと思われる倒幕から明治維新の頃しかよく知らなかった人には、西郷さんの一生を深く理解するうえで貴重な情報だと感じた。

 

ジオラマと西郷どんゆかりの地MAP

龍郷町のジオラマ

西郷隆盛エリアを過ぎると部屋の真ん中に大きなジオラマが置いてあった。

龍郷町のジオラマ

龍郷町の地形ジオラマで、龍郷のおすすめポイントが立体的に把握できる。

ジオラマを目で追っていると気になるポイントを発見した。
「西郷南洲第二の潜居地」

第二の潜居地?

もう一度、先ほどの西郷隆盛エリアのボードに戻ってよく読んでみると、西郷さんは龍郷に来てから3度家を変わっているそうだ。

有名な場所として「南洲流謫跡」という、当時の木造家屋の雰囲気を残し、西郷さんゆかりの品を展示している住居跡(私有地・要閲覧料)があることは知っていたが、他にも住居があったとは知らなかった。

さっそく「第二の潜居地」に行ってみたくなり、りゅうがく館の方に西郷さん関係のMAPがないか尋ねてみる。

頂いたMAPがこちら。
西郷どんゆかりの地龍郷MAP

楽しそう!ドライブ日和にゆっくりとまわってみたくなるルートだ。

私はこの「西郷どんゆかりの地MAP」を見ながら、西郷さんの暮らした痕跡をたどってみることにした。
(次回へつづく)

MAPデーター提供:龍郷町役場教育委員会

 

<西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅 全4回>

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.1〜りゅうがく館〜》

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.2〜西郷松跡地〜》

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.3〜西郷南洲第二の潜居地〜》

《西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.4〜龍郷集落〜》

 

りゅうがく館

住所:鹿児島県大島郡龍郷町瀬留968-1
TEL:0997-62-3110
開館時間:平日・土 / 9:00 ~ 22:00 日 / 9:00 ~ 17:00
休館日:年末年始

※有料の部屋(下記)もあります。いずれも1時間単位。
冷房使用料は別途200円(1時間)
1F: 多目的室1・2 / 800円、講堂 / 1500円
2F: 和室1・2、音楽室、研修室、視聴覚室 / 800円
 調理室 / 1000円
シャワー室 / 200円
(※営利目的の場合は、使用料が異なります。)

※2F文化財展示室「奄美・龍郷 島ミュージアム」は下記の通り
TEL:0997-69-4532
開館時間: 9:00 ~ 17:00(入室は16:30まで)
観覧無料
休室日:年末年始

この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER

関西出身。縁あって奄美で結婚。転勤族の夫と供に奄美群島各地を回り、2015年奄美大島に落ち着く。奄美の島々を回るうち、各地の風土・風習・歴史の違いに強く惹かれ、大好きな絵や文を通じて、その魅力を発信していきたいと思うようになる。

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