西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.2〜西郷松跡地〜

2018年NHK大河ドラマの主人公は、明治維新の立役者である「西郷隆盛」。
生まれと活躍の場は鹿児島本土が中心だが、実は奄美大島に3年ほど住んでいた経歴がある。

激動の時代のなか、ふいに訪れた島暮らし。
奄美大島の龍郷町に残る西郷さんゆかりの地をめぐり、偉人の心に思いを馳せる第2回。

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西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.1〜りゅうがく館〜

 

西郷さん初上陸の地「西郷松跡地」

前回「りゅうがく館」で手にいれたMAPを参考に、私は西郷さんゆかりの地をめざした。

さっきまで車の往来でにぎやかだった通りは、3分も行くと海沿いの静かなドライブコースに姿を変えた。

この先に西郷さんゆかりの地のひとつ、龍郷町久場の「西郷松跡地」がある。

 

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「西郷松」とは、西郷さんが奄美大島に初上陸する際、舟を陸に繋ぎとめるために、とも綱を結びつけたという松の木のこと。

当時は樹齢100年を超える大木だったというが、残念ながら2011年に「立ち枯れ」と診断され、伐採されている。

(その伐採した木で作ったものが、りゅうがく館の入り口に展示してある西郷さんと愛加那の木彫だ)

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※伐採前の西郷松

西郷松の跡地は「西郷松本舗」というお店の敷地内にあり、松のあった場所には記念碑が建てられていた。

 

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りゅうがく館で読んだ文献によると、西郷さんが龍郷にやってきたのは1859年1月。

ちょうど黒糖収穫の最盛期で、島は一年で最もにぎやかな時期をむかえていた。
(奄美大島は黒糖が主な産物だったため、年貢も黒糖で納めていた)

 

船頭らにまじって現れた西郷さんの巨大な姿に、船を見物しにきた人達は目をみはったという。

西郷さんは大小の刀をさし、亡き主君・斉彬公から頂いた、島津家紋章つきの羽織をきていたそうだが、その心持ちは決して明るいものではなかったと思われる。

 

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というのも、西郷さんは藩より潜居を命じられる前、2度も自分の命を絶とうとしているからだ。

一度目は敬愛していた主君・島津斉彬が急死したとき。(殉死しようとした)

二度目は一度目の死を思いとどまらせた恩人・月照を守りきれず、せめて一人で死なすまいと冬の海に身を投げたとき。
(西郷さんは奇跡的に蘇生したが、月照は帰らぬ人となった)

 

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蘇生35日目に書いたとされる手紙の中で、

「私事土中の骨にて(今の私は土中に埋まる死骨のようで)」

と西郷さんは苦悩し、自分だけ生き長らえたことを恥じている。

 

そんな複雑な気持ちを抱えたまま奄美にやってきた西郷さん。

これからこの地で3年を過ごし、家族を持つことになるとは思いもしなかったかもしれない。

 

西郷松本舗のきびジュース&黒糖菓子

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西郷松の跡地を拝んだあと、同じ敷地内にある「西郷松本舗」をのぞいてみた。

 

西郷松本舗は、小さなこじんまりとしたお店だが、置いている品は自家製の黒糖から作った逸品ぞろい。

自家製黒糖の原料となるサトウキビは「太茎種(たいけいしゅ)」という、香りと風味に優れた昔ながらの品種だそう。

 

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どれもお手ごろ価格だったので、ちょっと味見してみた。

 

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まめぼっくり 108円

ピーナッツに黒糖をからめた奄美のお菓子。
食べ出したら手がとまらない。
島内・島外にかかわらず、リピーター続出の銘菓。

 

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西郷松せんべい 108円

食感はサクッとしていて食べやすく、黒糖の甘さもちょうどいい。

西郷さんが奄美の山にイノシシ狩に行ったとき、しいの実を拾ってきて焼いて食べていたという逸話からヒントを得たお菓子だそう。

 

西郷さんは狩りのために、遠くは湯湾岳まで足をのばしていたそうだが、きっとこの近くの森「奄美自然観察の森」あたりでも、狩りをしていたのではないだろうか。

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黒糖に関係する逸話も多く残っている。

 

来島当初から黒糖収奪の過酷な政治に、胸を痛めていた西郷さん。

黒糖が不作だった年に島民らが砂糖隠匿の疑いをかけられ、役人からひどい尋問にあったとき、西郷さんは苦しむ奄美の人々を見過ごしにできなかった。
当時の代官に会いに行き、その非行を正し島民を救ったという。

また、黒糖の厳しい取り立てによって生まれたと思われる「家人制度」などの社会的課題についても心を痛め、黒糖収奪で苦しむ奄美の人々の待遇改善に努めたそうだ。

 

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その黒糖の原料となるサトウキビの絞り汁、「きびジュース」の看板が気になって注文してみた。

 

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きびジュース 1杯 100円

きびジュースは、奄美でも何ヶ所か飲ませてくれる場所があるが、ここのきびジュースは本当に美味しい。
サトウキビの品種が太茎種だからだろうか?
あっという間に飲み干してしまった。

 

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ジュース片手に休憩していた場所をよく見ると、テーブルは何かの木を使って作られている。

「もしかして」と思い、お店の人に尋ねてみた。

 

「そう。このテーブル、西郷松からつくったのよ。」とのお返事。

 

生きた西郷松を見ることはできなかったが、テーブルのサイズから西郷松の大きさを想像することができた。

 

もしかしたら、西郷さんがその手で触れたかもしれない一本の松の木。

歴史の痕跡はこうやって少しずつ形をかえながら、ここであった偉人の出来事を語り継いでゆくのだろう。
(次回へつづく)

 

・西郷隆盛ゆかりの地をめぐる奄美大島の旅Vol.1はこちら

 

MAPデーター:龍郷町教育委員会
参考文献:龍郷町誌、西郷隆盛全集第1巻、南洲翁謫所逸話、愛加那記

西郷松本舗

住所:鹿児島県大島郡龍郷町久場886
TEL:0997-62-2163
営業時間:9:00〜18:00
定休日:なし  ※配達等で不在の場合あり。電話にて要確認。

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この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER

デザイナー/ライター。関西出身。縁あって奄美で結婚。転勤族の夫と供に奄美群島各地を回り、2015年奄美大島に落ち着く。奄美の島々を回るうち、各地の風土・風習・歴史の違いに強く惹かれ、大好きな絵や文を通じて、その魅力を発信していきたいと思うようになる。2008年~2014年、島の農産物加工団体でデザイン業務を担当。

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