あなたも「ブラ奄美!」Vol.2|奄美の米作りに隠された知恵を探る

秋名 水田

街歩きの達人であるタレントのタモリさんが、ブラブラ歩きながら土地の歴史や文化、人の暮らしを探るNHKの人気番組「ブラタモリ」。その「ブラタモリ」が2017年に奄美大島にやってきました。

2017年3月~4月に番組異例の3回に渡って放送された「ブラタモリ」では、地元シマッチュ(島人)も知らなかったような、奄美大島の根幹とも言えるディープな文化・歴史・自然が紹介され、多くの発見がありました。番組のナビゲーションを参考に、あまみっけ。ライターが奄美大島の地を巡り、奄美大島の自然とそれによってはぐくまれた奄美の宝について改めてご紹介していきます。

テーマごとに巡る全6回シリーズ。さあ、あなたも「ブラ奄美」してみませんか?

 

あなたも「ブラ奄美!」Vol.1|自然をいかした奄美の宝「大島紬」
あなたも「ブラ奄美!」Vol.2|奄美の米作りに隠された知恵を探る
あなたも「ブラ奄美!」Vol.3|甘い「黒砂糖」のしょっぱい歴史
あなたも「ブラ奄美!」Vol.4|固有種の宝庫である奄美の森を探る
あなたも「ブラ奄美!」Vol.5|海と陸のキワにある生命のゆりかご
あなたも「ブラ奄美!」Vol.6|独特な地形が生み出す自然の恵み

 

あなたも「ブラ奄美!」Vol.2|奄美の米作りに隠された知恵を探る

名瀬の街を出て国道58号線を北上すること約30分。道路の左手にあるのが龍郷町役場です。
今回は、龍郷町役場企画観光課の盛島 洋也(もりしま ひろや) さんにお話を伺いました。

#2_2

 

謎のスポット「浦の橋立」と「とおしめ」

龍郷町は、奄美大島の中でも珍しい稲作が残った地域なのだそうです。町でも保存活動に力を入れているということです。
まずは、特別に屋上にご案内いただき、最初の謎のスポット「浦の橋立」を見学です。

龍郷町 浦の橋立

龍郷町役場(龍郷町浦)を過ぎたあたりから海に面した一直線の道路が伸びています。これが、京都府にある「天の橋立」に似ていることから「浦の橋立」と呼ばれている道です。

琉球松の並木がきれいですね。タモリさんが気づかれたように、一直線の人工的な地形です。

龍郷町 浦の橋立

これは、平地の少ない奄美大島で稲作をするために、海につながる沼地に堤防を作って水田を作った跡なのです。

道路の右側は今は草が生えていますが、人工的に埋め立てて造った水田跡だったのですね。昭和40年ごろまでは水田として使われていたそうです。

現地にある看板には、そのころの田んぼの様子が紹介されています。

龍郷町 とおしめ

車に気をつけながら道路を渡ると、大きな岩があります。その下を覗き込むと、向こう側の海に抜ける穴(とおしめ)があいていました。これも人の手によって掘られた穴です。

堤防は海に面しているので、潮の満ち引きで堤防側にかなりの圧力がかかり、それを緩和するために意図的に水を中に入れるための調整弁の役割をしているのだそうです。昔の人はすごいですね。

龍郷町 とおしめ

岩の裏側に回ってみると、確かに海側につながっています!水田を守ろうとした知恵と執念がうかがえます。

◆ 龍郷町役場 http://www.town.tatsugo.lg.jp/

 

いまも続く秋名・幾里集落の米作り

龍郷町 安木屋場 蘇鉄の群生

さて、次は奄美大島の中でも珍しく田んぼが多く残っている秋名地区へ。龍郷町役場から北へ車を走らせます。10分ほど走ってトンネルを抜けると右手には海、左手には一面をソテツに覆われた山が見えます。ここが安木屋場(あんきゃば)という集落です。

ブラタモリの中では、お米を食べられない食糧難時代にソテツのおかゆを食べたという話をタモリさんが現地の方に伺っていましたね。

龍郷町地域おこし協力隊 村上裕希さん

安木屋場を出て、さらに県道を15分ほど走ると秋名・幾里集落に着きます。ここは、山と海に囲まれて広い平地があり、奄美でも一番水田が残っています。

龍郷町地域おこし協力隊の村上 裕希(むらかみ ゆうき)さんに秋名・幾里集落の米づくりの様子についてのお話を伺いました。

「ここ秋名・幾里地区でも一部はサトウキビ畑がありましたが、地元の人たちの努力でなんとか田んぼが残っています。自家用のほか集落の行事などに使ったり、最近では、奄美黒糖焼酎の原料米として使われるようになってきました。自分たちでお米を育てている酒蔵さんもあるのですよ。」

奄美大島の中には、稲作を起源とする行事やお祭りが多く残っています。それだけ稲作が盛んにおこなわれていたということですね。
秋名集落に400年続くショチョガマもそのひとつで、来年の豊作を願う独特の行事です。

そのショチョガマの舞台は、水田を見下ろす山の傾斜地にあります。さっそく連れていっていただきました。

秋名 ショチョガマ

(写真は2017年のショチョガマの様子)

ショチョガマは、今や国の重要無形民俗文化財となっています。

毎年新しく作られたショチョガマ(片屋根のわらぶき小屋)の上に男性たちが乗り、歌を唄いながら台を揺らし、倒れた方向で来年のお米の出来を占う行事です。

南に倒れれば豊作、北に倒れれば厳しい年になると言われています。
2017年9月に行われたショチョガマでは、見事に南に倒れたということでした。来年も豊作ですね。

秋名

奄美大島は、もともと南の土地ということもあり、二期作で、あまり美味しい米が収穫できない土地でした。
そこで、薩摩藩の侵攻により薩摩藩の領地になると、お米に代わって、奄美の土や気候に合った黒砂糖で年貢を納めることを強いられるようになりました。

その結果、田んぼは多くがサトウキビ畑に変えさせられ、島から田んぼが消えていきました。島の全ての人が黒砂糖つくりに従事したとも言われています。

そうした苦しい時代があったにも関わらず、ショチョガマのような行事が地元の人たちのおかげで現代まで受け継がれてきたのがまたすごいですね。

秋名の水田

行事に欠かせない稲藁は自分たちの土地で作ろうと、近年秋名地区では田んぼが増えてきています。苦労の末、栽培法や管理法を向上させ、お米の味も美味しくなってきているとのことでした。

また秋名には小学校の田んぼもあって、子供たちが力を合わせてお米やもち米を作っています。収穫したら小学校でお餅つきをしたりもするそうです。

田植えの時期、稲が育ってきた時期、稲穂が実ってきた時期と稲の育つ風景は美しいものです。これからも秋名の稲作りと共に、行事を含む人々のくらしが続いていって欲しいと思います。

 

【今回の旅の行程】
名瀬
↓ 車で30分
「浦の橋立て」 (龍郷町) 見学 10分
↓ 歩いて道の向こうへ
「とおしめ」 (龍郷町) 見学 10分
↓ 車で15分
安木屋場集落 見学10分
↓ 車で10分
秋名地区 水田とショチョガマ舞台見学 1時間
↓ 車で35分
名瀬

今回取材した場所

◆ 龍郷町役場
〒894-0192 鹿児島県大島郡龍郷町浦110番地
TEL 0997-62-3111(代表)

 

★ 参考図書

「ブラタモリ 12 別府 神戸 奄美」
監修NHK「ブラタモリ」制作班 株式会社KADOKAWA 2017/12発行

この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER

Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!

関連記事ACTIVITY 島遊

Copyright © 2016 一般社団法人あまみ大島観光物産連盟 All Rights Reserved.