音楽好きが集う場所。島の人と観光客のセッションが始まるLIVE BOX「MA・YASCO」

島唄

2018/11/30

ペン

田中 良洋

奄美大島LIVE BAR MA・YASCO

奄美大島の繁華街、奄美市名瀬中心部にある屋仁川(やにがわ)通り。
この通りを海の方へまっすぐ進むと、奄美大島の音楽好きが集まるBarがあります。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCO外観

LIVE BOX「MA・YASCO(マヤスコ)」

そこはまるで、音楽サークルの部室のような空間。島の人、旅の人関係なく、ただ音楽が好きというだけで人々が集まり、自然と音楽が始まる場所です。

誰かがギターを弾けば、それに合わせてドラム、ベース、ピアノとプレイヤーが集まってくる。もしあなたが音楽が好きで、なにか楽器ができるなら行ってみることをおすすめします。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOステージ

 

MA・YASCOはどんなところ?

 

MA・YASCO(マヤスコ)とは、島の方言でリュウキュウコノハズクというフクロウのことです。昔は朝5時まで開いていたので、フクロウのように眠らずにオープンし、福を呼びこむようにと名付けられました。

現在(2018年11月時点)は火曜日以外、毎日夜8時から深夜2時まで開いています。フードはありませんが、チャージなしでドリンクが飲めます。もし何か食べたい場合は、どこかで買って持ち込むこともできます。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOカウンター

楽器はギター、ベース、ドラム、ピアノ、マイクがあり、まるで音楽スタジオのよう。お酒が飲める音楽スタジオと思ってもらうと分かりやすいかもしれません。

月に10回くらいのペースでイベントを行っており、それ以外の日は誰でもステージに上がっていいオープンマイク形式になっています。島外のバンドがLIVEを行いたい場合も、事前に問い合わせていただければ調整可能です。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOの楽器

「遅くまで楽器ならして周りに迷惑にならないの?」

と思うかもしれませんが、そこは島の良いところ。海の近くで民家からは少し離れた場所にあるので、夜中の2時まで楽器を弾くことができます。

話している人、曲を作ったり歌詞を書いていたりする人、お酒を飲んでいる人、セッションをしている人。

島の人も旅の人も関係なく、好きなように音楽を楽しんで帰っていく。
それがこのMA・YASCOなのです。

 

部室のような空間をつくりたい

 

MA・YASCOは20年前にオープンしました。元々は本格的なジャズを楽しめるお店で、オードブルも出すお洒落なお店でした。それが4年前、閉店すると決まったときに譲り受けたのが現在のオーナー、西桂吾さんです。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOオーナー・西桂吾

以前からMA・YASCOに出入りしていた西さん。お店を譲り受けた後は、それまでの少し敷居が高かった雰囲気を一転し、なるべく敷居を低くし、どんな人でも気軽に音楽を楽しめるような場所にしてきました。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOカウンター

ここ2年くらいは観光客の人も増えています。ホテルの人が音楽を聞ける場所として紹介してくれているようで、宣伝せずとも自然に広がって来ています。

よく島唄が聞けるお店と勘違いして来る人もいるようですが、バンド演奏の方が多いです。島唄のイベントをしていることもありますが、島唄が聞けると思って来てしまうと期待に添えないかもしれません。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOカウンター

「来てくれた人にはなにか繋がりを持って帰って欲しい。」

西さんは、旅行で来た人でも空気を読んで話しかけ、なにか共通点を見つけて他のお客さんと繋げてくれます。出身はどこか、どんな楽器をしているのか、共通の話題を見つけて一緒に飲むきっかけを作る。それが西さんの仕事だと言います。

一人でも初めてでも、温かく迎えてくれる場所です。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOステージ

初めて来た人は、いきなり楽器を持ってステージに立つのは緊張するかもしれません。でも、西さんはどんどんやって欲しいと言います。

「下手でも初心者でも気にせず、なんの気兼ねもなくステージに立てる場所であって欲しい。そうやって島の人と外の人が繋がる、ミュージシャンが集まる部室のような場所になるといい。」それが西さんの願いです。

 

音楽は制限なく人を繋いでくれる

 

旅の醍醐味は、その土地の文化や食べ物、景色を味わうことはもちろんですが、その場所の人と仲良くなれることだと思います。知らない人にいきなり話しかけることは抵抗があっても、音楽があれば距離はぐっと縮まります。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCO サックスを吹く人

知らない土地で知らない人と一緒に奏でた音楽は、きっと旅をひと味もふた味も違うものに彩ってくれるでしょう。

通常ライブハウスは、出演者以外をステージに上げることはなかなかありません。でも、誰だって一度はステージで歌ってみたい、演奏してみたいという気持ちはあるはずです。西さんは、ご自身がミュージシャンであったからこそその気持ちが分かると言います。

奄美大島LIVE BAR MA・YASCO ピアノを弾く人

「ノルマとかギャラとか関係なく、みんなステージに立って音楽を楽しんで欲しい。音楽で繋がるっていうのは、何の制限もないし後腐れなく繋がれるはず。そういう意味でぼくは音楽を信じてる。

寒い日以外はなるべく扉を開けて、前を通ったら音楽が聞こえるようにしています。誰でも入りやすい場所にしたい、という西さんの計らいです。たまにトイレだけ借りに来る人がいるほどです。笑

 

奄美大島LIVE BAR MA・YASCOステージ

“音楽が好き” その気持ちだけで集った仲間たちが集まる音楽部室。今日もきっと、MA・YASCOでしか聞けない音楽が生まれているはずです。

音楽、楽器、演奏、バンドが好き。そんなあなたが奄美大島を訪れた時には、ぜひMA・YASCOに足を運んでみてください。

ペンアイコン
この記事を書いたフォトライター

田中 良洋

田中 良洋

映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。

Related Articles 関連記事