「幼いころ、探検家のドキュメンタリーを見て自分も探検家になりたいと思った。」
「奄美マングースバスターズ」になったきっかけを楽しそうにキラキラしたまなざしで話す白石聡さん。
もともと東京の飲食店で働いていたが、「島暮らしがしたい」という強い思いから島移住を決意。移住する島を探していたとき、加計呂麻島の嘉入集落の自然、人に魅了され奄美大島に移住することとなった。
移住後は農作業をしたり農業研究生として牛を飼育したりと奄美の動植物に触れあうことが当たり前の日常を過していたときに、「奄美マングースバスターズ」の話を持ち掛けられた。
「奄美マングースバスターズ」は、奄美大島からマングースを完全に排除し、奄美の生きものたちをよみがえらせることを目的とするために結成されたプロ集団。
雨の日も風の日も山に入り、険しい山道を3~4時間歩き続ける。
捕獲手段は、大きく分けて「わな」と「探索犬」の2種類。2014年度は「わな」で39頭、「探索犬」で32頭のマングースを捕獲することに成功した。
わなは、島内に約3万個設置。ほぼ1ヶ月に1回全部のわなを確認する。探索犬は、生きているマングースを探す「生体探索犬」とマングースのふんを探す「ふん探索犬」に分かれている。
白石さんは毎日、相棒のふん探索犬ユウキくん(3歳)と一緒に山に入り、マングースのふんを探す。嬉しそうに白石さんの横を歩くユウキくんがなんとも可愛いらしく、二人の絆の深さを感じた。
約2年間服従訓練を繰り返しながら、一緒に成長してきたと語る白石さん。初めてふんを発見したのは訓練から1年10か月のとき。そのときに感じた喜びと興奮が、今も彼を奮起させる原動力だ。
奄美の生態系が回復していることを実感したときに一番喜びを感じる白石さん。
マングースが確実に減り始めたことで、在来の動物が奄美の山に戻ってきていることが報告されている。山では、アマミノクロウサギやアマミイシカワガエルなど珍しい動物に出会うことも増えてきた。この自然を守り、これからも残していくことが今後の目標だ。
マングースを奄美から完全排除するため、奄美の生態系を守るため、今日も相棒とともに道なき道を歩き続ける。
白石 聡 (しらいし・さとし)
1976年、大阪府生まれ
奄美マングースバスターズ ハンドラー
一般財団法人自然環境研究センター 奄美大島事務所
住所:鹿児島県奄美市名瀬浦上1385-2
TEL:0997-58-4013
※「奄美マングースバスターズ」は、環境省の「奄美大島におけるフイリマングース防除事業」を担っている。
この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER
しーまブログ編集部
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