「愛かな工房」の泥染め体験で、世界にひとつだけの宝物を作ろう

島遊

2020/03/14

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奄美大島が世界に誇る伝統的工芸品、本場奄美大島紬。
上品な光沢と精巧な絣模様が美しい絹織物です。

泥染めをする女性

本場奄美大島紬の染色工房で泥染め体験

本場奄美大島紬は、30から40ある製造工程の全てが専門の職人さんによる分業制で行われています。

龍郷町瀬留にある「愛かな工房」さんは、工程のひとつ「泥染め」の伝統工芸士前田博仁さんと奥様の則美さんのお2人が営む染色工房です。
民泊愛かな工房の建物

工房では、前田さんの泥染め作品や大島紬の洋服や小物を購入することができるほか、泥染め体験を楽しむことができます。

今回は、工房で購入した絹100%のストールと持ち込んだ帆布のバッグを泥染めすることに。

実は、持ち込んだバッグは、底の部分が汚れてしまっていたもの。
愛かな工房さんでは、材料の無料持ち込みができるので、汚れたり色褪せたりしてしまったお気に入りの服やバックを染め変えることができます。
泥染め体験のTシャツとストール

もちろん、工房にもストールやTシャツ、エコバッグ、靴下など様々が材料が用意されているのでご安心を。

また、エプロンや長靴、手袋などは工房で借りることができるので、手ぶらでOKなのも嬉しいところ。
ただし、体験中に汚れてしまう可能性があるので、汚れても大丈夫な服や濃色の服で行くことを忘れずに。

材料を決めたら、見本を見ながら染める色の濃さや模様を決めていきます。
泥染め体験の絹のストール

今回は、一目惚れした則美さんのストールを真似て、濃淡のグラデーションをつけることにしました。
グラデーションをつけたい部分をタコ糸で縛り、ビニール袋をかぶせ、さらにタコ糸できつく縛って準備OK。

いよいよ染める作業です。

テーチ木染めを繰り返すことで生まれるグラデーション

材料を軽く水洗いしたあと、石灰を溶かした水に浸け、しっかりと揉みこみます。
泥染め体験をする女性

その後、テーチ木(和名:シャリンバイ)の染液につけ、同じくしっかりと揉みこみます。
泥染め体験を楽しむ女性

則美さんいわく、「体重をかけて揉みこむのがコツ」。
想像していたよりも体力を使います。

石灰水とテーチ木染め、このサイクルを好みの色になるまで繰り返します。
このときは3回繰り返しました。

2サイクル目を終えたあと、タコ糸を切りビニール袋を外します。
この状態で再度染めることで、1回目から染めているところは濃く、3回目だけ染めたところは淡く、綺麗なグラデーションをつけることができます。
泥染めをした絹のストール

奄美大島の「泥」が生み出す深い色

テーチ木染めを終えたら、一旦乾燥機へ。
乾燥機から出したら、泥染めする部分以外をタコ糸で縛り、ビニール袋をかぶせます。

そして、工房の裏手にある泥田へ移動、いよいよ泥染めです!
泥田で泥染めをする女性

泥田は、想像していたよりも足元がぬかるんでいて動きづらいと感じました。
でも、泥がとってもなめらかで気持ちが良かったです。

泥染めのコツは、「泥をつけるようにしてしっかりと揉みこむ」こと。
この作業もなかなか体力を使います。
泥染めのストールを洗う女性

泥染めを終えたら川へ移動し、水洗い。
川の流れが早くてちょっと緊張しましたが、おかげで綺麗に泥を落とすことができました。

泥染めをした部分は、濃い茶褐色に変化していました。
泥に含まれる鉄分とテーチ木のタンニン酸が結合し、赤褐色から黒みを帯びた茶褐色に変化するそうです。

奄美大島の泥が生み出す色は、とても深い素敵な色でした。
泥染めのカバンと絹のストール

川で水洗いをしたあとは色止めをして、乾燥機へ。
最後にアイロンをかけて、完成!

ストールもバッグも、世界に一つだけの宝物が出来上がりました。

則美さんがつきっきりで指導してくださったおかげです。
絹のストールの泥染め

体験や滞在を通して、温かいお人柄に触れる旅

ご主人のお仕事の手伝いをしているうちに、「染め終わった後の綺麗なピンク色の染液がもったいなくて」、家にあるものを染め始めた則美さん。

小物やストールなどを染めているうちに、県のコンクールへの出品を薦められ、優秀賞に輝きます。
受賞したことが地元で話題となり、「泥染めを教えて欲しい」と言う声に応えて、泥染めを教え始めたそうです。
泥染めの絹のストールとカバン

愛かな工房は今年で41年目。
昨年には、工房の隣に宿泊施設「島泊 愛かな」とギャラリーをオープン。
宿では、鶏飯作り体験や五右衛門風呂体験なども楽しむことができるそうです。

前田さんご夫妻の温かいお人柄に触れながら、様々な体験を楽しむことができる「愛かな工房」と「島泊 愛かな」。

次の奄美大島旅行で訪れてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたフォトライター

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事務職/ライター/元ダイビングインストラクター。はじめて島の海で泳いだ日から島の海の美しさのとりこになり、単身で移住してしまった奄美3世。趣味はスクーバダイビングと写真撮影、そして旅。休みの日は、カメラ片手に海に入ったり、ドライブをしたり、美味しいものを食べ歩いたり。まだまだ島を探検中の新米ライター。大阪府出身。

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