聖水~龍~マリア像 奄美市名瀬大熊のパワースポットを巡る

島景

2016/09/03

ペン

麓 卑弥呼

奄美市名瀬の中心部から北部へ向かうトンネルをひとつ越え、いわゆる「上方(かみほう)」エリアに位置する大熊集落は、住宅も多く活気あふれる集落だ。

カツオ漁船のシマ(集落)として地元では有名で、新鮮な刺身を求めて日々多くのシマッチュが訪れるが、大熊集落の活気は、カツオだけによるものではないのだ。集落に点在するパワースポットを巡ってみた。

 

「水は命 健康は宝」けして枯れない聖なる水

大きなガジュマルが枝葉を伸ばし、守る聖地、「チボリの水」は有名。奄美大熊のチボリの水

水汲み場として整備されてひしゃくなども置かれているので、大きなタンクを持ってきて水を汲んでいる人をよくみかける。

奄美大熊のチボリの水看板

誰だって水は持って帰れる。でもルールは守ってね、という注意書き。「聖地」とは、「ここは大切な場所です」という、集落の強いメッセージなのだと思う。

水は古来より枯れることなく沸き続け、濁りなく透明な水は甘くおいしく、飲み続ければ長生きをするのだとか。壷に入れて持ち帰ったことから、壷入り=「チボリ」らしい。

奄美大熊の透き通ったチボリの水

もちろん、生水なのでそのまま飲むのは要注意!煮沸消毒など自己管理が必要だ。

とめどなく出てくる水は冷たく透き通っていた。クーラーなどない夏場の暑い時期など、多くの人ののどを潤す、まさに「命の水」だったんだろうなあ。

これまで枯れることなく美しい水を保っているのは島の自然の豊かさはもちろん、集落の人たちがこの場所と水を大切に守ってきたからなのだと思う。

 

海の守護神を祀る「龍王神社」

奄美大熊の龍王神社

大熊集落の山手、一番奥のほうにこの神社がある。名前は龍王神社。

「奄美学 その地平と彼方」(2005年、南方新社、「奄美学」刊行委員会編)によると、

竜王神社社歴によると、約一千年前、海上交通の盛んな時代に大熊漁港は良港だった為、帆船の出入りが多く天候待機の船も多かった。その為に、海の守護として竜神を祀って建てられた。この守護神を弁財天という。

奄美大熊の龍王神社鳥居

これが入り口。階段をのぼって上までたどりつくとまた鳥居があり、そこをくぐる。

ふいに龍神に出会った。

奄美大熊の龍王神社、龍神水

玉に乗った龍神がかなり強めに気を吐いている。

おそらく、口から水が出る仕組みになっているのではないだろうか・・・。水が出ているところをぜひ見てみたい。

この神社の裾には、奄美の神・ノロ神が住むトネヤがあったという。神山を背にし、ここは間違いなく集落の繁栄を見守り祈る聖地であったのだろう。

 

 

もうひとつの祈り~カトリック大熊教会

奄美、カトリック大熊教会

神社から少し下って徒歩5分程度だろうか。カトリック大熊教会がある。

現在の建物とは違うが、そもそもは明治時代に建ったという歴史ある教会。

奄美、カトリック大熊教会鐘塔

奄美にカトリック信者は多く、各地に教会がある。かつては迫害などさまざまな歴史もあったが、この地に100年を超えて建ちつづけてきたと考えると、まさに集落民の祈りの場なんだなあと感じる。鐘塔に暮れ始めの陽がかかり、なんとも神々しかった。

 

大熊集落のこぐま商店で締めくくり。

奄美大熊、こぐま商店

教会から坂を下り、こぐま商店に到着。イートインスペースが多く、おもてなしの心にあふれるこのお店でひと段落。コンパクトに回れるパワースポット巡りはよい散歩コースかもしれない。

そしてもうじき、陽は海に落ちる。絶景の夕焼けを堪能し、帰路に着くとしよう。

奄美、大熊漁港から見る夕陽

 

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この記事を書いたフォトライター

麓 卑弥呼

麓 卑弥呼

ライター/しーまブログ編集長。東京都出身。大学時代に訪れた与論島にはじまり、縁あって奄美大島の新聞社に新卒で就職。さらに縁あって島人と結婚し、自らが島人となり奄美に完全に根を下ろす。フリーライターなどを経て2014年にしーまブログに入社し、現在に至る。

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