奄美自然観察の森で出会う、奄美大島の動植物【春~夏編】

島コト

2016/09/23

ペン

奄美自然観察の森 自然観察指導員 川畑 力

奄美といえば透明の海や珊瑚礁、熱帯魚の美しさのイメージが強いかもしれませんが、実は島の約8割は山間部で、ほぼすべてが山の島です。この山のなかには多種多様な動植物が生息しており、固有種も数多く存在しています。

滅危惧種のナゴラン(奄美)

奄美の夏の訪れを告げるナゴラン

とはいえ、日常ではなかなか目にすることの少ないこうした動植物。龍郷町の「奄美自然観察の森」では、広い敷地内に多くの動植物が生息していますので、歩いて安全に観察することができます。今回は春~夏の動植物をご紹介します。

 

子育てに忙しい、奄美の春の森

奄美大島の季節の移り変わりはシイの木が指標になります。山頂から黄緑色のシイの木の若葉が生えてきて、古い葉とのコントラストがはっきりしてくると春がやってきた印。また、シイの木の花の香りに春の訪れを感じるという人もいます。

そして、風景だけではなく、動植物の営みでも春を感じさせてくれます。

春は野鳥の繁殖時期。この時期は野鳥が非常に観察しやすくなります。

首を伸ばしてエサをせがむ、ルリカケスのひな

首を伸ばしてエサをせがむ、ルリカケスのひな

奄美大島で一番有名な鳥と言えば奄美固有種であるルリカケスですが、奄美自然観察の森では数カ所に営巣しせっせと子育てに励んでいる様子を観察することもできます。

天然記念物で絶滅危惧種のルリカケス

かわいい表情のルリカケス。奄美大島・加計呂麻島・請島のみに生息する天然記念物で絶滅危惧種

他にも非常に綺麗な鳴き声をするアカヒゲや、

天然記念物のアカヒゲ

澄んださえずり声が人気のアカヒゲ。国指定天然記念物

奄美固有であるオーストンオオアカゲラ、

奄美の固有種で天然記念物のオーストンオオアカゲラ

パッと見はカラスのように見えるカラスバト等の野鳥が観察できます。

天然記念物のカラスバト

実は、上記の野鳥はすべて天然記念物に指定されている珍しい野鳥。当施設では、上記を含めて約15種類の天然記念物や希少種に指定されている野鳥を観察することができるため、バードウォッチングや撮影に訪れる人が国内外から訪れます。

 

昆虫と生き物の夏の森

野鳥の繁殖がひと段落し、夏になるとここは昆虫や生き物の森へと様変わりします。日中はセミの鳴き声で騒がしくなり、色んな種類のチョウがヒラヒラと飛んでいます。夜になると騒がしさが取れ、チョウに替わりキイロスジボタル(ホタル)がメスを探して飛び回ります。また、地面に気を付けて観察していると光るキノコが観察できたりもします。このキノコはシイノトモシビダケというキノコです。

暗闇で光るシイノトモシビタケ

暗闇に幻想的に光るシイノトモシビダケ

奄美大島ではここでしか観察することができない、発光している珍しいキノコです。樹齢の長いシイの木や朽ちたシイの木にしか発生しません。しかし奄美大島と言えば夏は危険なアイツ、そうハブです。夜間はハブが出てくる危険ががありますので周囲をよく確認しながら観察してくださいね。

 

園内ガイドもOK!自然をたっぷり観察してみませんか?

奄美と沖縄に生息する日本の固有種イシカワガエル

日本で一番美しいカエル、と言われるアマミイシカワガエル

夏は昆虫や生き物の森ですが、もちろん綺麗な花を開花させる植物等もあります。

野生では絶滅危惧種のフウラン(風蘭)

夏に咲く美しいフウラン

季節の植物や昆虫や生き物等の観察を通して、奄美大島の自然に触れ、その素晴らしさをぜひご体感ください。日中のみになりますが、ご希望であれば園内ガイドもしますのでご希望の方は事前にご予約ください。

 

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この記事を書いたフォトライター

奄美自然観察の森 自然観察指導員 川畑 力

奄美自然観察の森 自然観察指導員 川畑 力

兄とともに、魚を捕ったり生き物を飼育したりと自然に触れ合って育った幼い頃。大人になり、自然に触れる機会が減ってしまっていたときに、龍郷町の自然観察指導員の募集を発見。幼い頃から親しんできた、奄美の自然の素晴らしさをたくさんの人に知って楽しんでもらいたいと思い、自然観察指導員となりました。毎日が発見・勉強・情報発信の日々です。ぜひ一度奄美自然観察の森へお越しください。

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