【見学可能】奄美の文化を次世代へ繋ぐ「住用相撲クラブ」が迫力満点!!!

島遊

2017/11/07

ペン

田中 良洋

ご存じでしょうか。

奄美大島は、日本で一番土俵が多い島なのです。

 

島を回るときに気づいた人もいるかもしれません。奄美大島の公民館には、必ず土俵が併設してあります。

毎年8〜10月ごろに各集落で行われる豊年祭では、必ず公民館にある土俵で相撲が取られます。

奄美、豊年祭の相撲

親子相撲や兄弟相撲といった余興相撲から、勝つと賞金が出る本気の大会が行われることもあります。男の子の新生児は生まれて初めての土俵入りをし、健康に育ってくれることを願います。

奄美大島の文化と相撲は、とても深い関わりがあるのです。

 

奄美市住用町にある体験交流館に、奄美大島の相撲文化を支えるクラブがあります。

その名も「住用相撲クラブ」

見学もできるということなので、練習風景を覗いて来ました。

 

島全体から子どもたちが集まる相撲クラブ

 

奄美市名瀬市街地から車で約30分。奄美体験交流館の中に住用相撲クラブの練習場があります。

中に入ると、すでに子供たちが準備運動をしていました。

住用相撲クラブ練習風景

まだ小学生に上がっていない未就学児から小学生、別の土俵では中学生や一般の大人たちも練習に励んでいました。

四股を踏み、相撲の基本動作で準備運動をします。四股を踏む数、なんと100回!!!最後は足が上がらなくなり、腕を使って力づくで上げていました。

住用相撲クラブ:四股を踏む子供たち

準備運動が終わるころには背中が光って見えるほど汗をかいています。

住用相撲クラブ練習風景

ここにいる子供たちは住用町の子供だけではありません。名瀬や龍郷など、島全体から相撲を習いに来ています

体格も年齢も様々で、中には「ホントにこの子が相撲を取るの?!」と思ってしまうような華奢な子も習いに来ています。

 

迫力満点の子供たちの取組

 

基本動作の練習が終わり、ついに子供たちの取組が始まります。

住用相撲クラブ:取組風景

正直にお話します。

私は奄美大島に来るまで相撲なんて興味がありませんでした。テレビでおじいちゃんがよく見ていましたが、何が面白いのか分かりませんでした。

この日の子供相撲も、子供同士の取組なのであまり期待していませんでした。

 

大きな間違いでした。

住用相撲クラブ:子供たちの取組風景

汗と砂にまみれて相手とぶつかり合う取組は、見ているこちらがハラハラしてしまうほど迫力があり、興奮するものでした。

子供だからといって見くびってはいけません。相手に負けまいと気迫にあふれた視線は本物です。

住用相撲クラブ:子供たちの取組風景

なかには明らかに体格差のある子供同士の取組もありました。

思わず「大丈夫?」と心配するような相手でも、子供たちは物怖じせず相手にぶつかっていきます。

住用相撲クラブ:子供たちの取組風景

私は気がつくと手に汗握り、心の中で「頑張れ!」と応援していました。

こんなにも相撲が面白いものだったとは・・・

島に来てはじめて気づきました。

奥の土俵では中学生も練習していました。中学生は皆体格も大きいので、さらに迫力があって面白いです!

住用相撲クラブ:高校生の取組

 

監督にお話を聞いてみました

 

住用相撲クラブの監督、森田次郎さんにお話を聞いてみました。

住用相撲クラブ監督:森田次郎さん

田中「奄美大島は相撲が盛んなんですね。」

森田さん「そうですね、九州代表で全国の大会に行く子が4人いるんですけど、そのうち2人がここから出ています。」

田中「強いんですね!賞状もたくさんありましたけど、強さの秘訣はあるんですか?」

森田さん「みんな真面目ですね。寡黙に一生懸命練習しています。自分たちが中学生のころはこんな真面目にできなかったですよ。」

住用相撲クラブの賞状

田中「教えていてどういうときに喜びを感じますか?」

森田さん「勝った瞬間がやっぱり嬉しいですよ。勝てなかった子が勝てるようになる。相撲は体の大きさ関係なく勝てるのが魅力なんでね。昔は奄美大島の人は小さい人が多かったんですよ。小さくても喰らいついていく相撲だった。」

田中「小さい子でも気迫がすごいですね。」

森田さん「そうですね。以前、自閉症で人と目を合わせられなく挨拶もできないような子がいたんです。でも相撲をして体が大きくなって、少しずつ勝てるようになると自信になったようで、今は普通に話ができるようになっています。諦めない気持ちと自信が育ってくれていると思います。」

住用相撲クラブ:見守る監督

 

田中「観光客が見学に来て練習の邪魔にはならないですか?」

森田さん「ここの子達は全然気にしませんよ。大会はたくさんの人が見ている場所でするんで、誰かが見てても力を出せないといけないですしね。たくさんの人に来てもらって、奄美の相撲の文化を感じてもらいたいですね。見に来て相撲の魅力にはまる人も多いですよ。」

 

住用相撲クラブに通う知根小学校6年生の西加匠海くん(13歳)にも話を聞いてみました。

住用相撲クラブ:西加匠海くん

田中「相撲クラブにはいつから通っているの?」

匠海くん「小学校1年生くらいからです。」

田中「長いね!もう6年くらい通ってるんだ。相撲の魅力はどんなところ?」

匠海くん「体の大きさに関係なく勝てるところです。」

田中「今日も、体の大きい相手にも向かっていたよね。相撲をしてて、どんな時が楽しい?」

匠海くん「投げが決まった時はすごく気持ちいいし楽しいです。」

 

 

住用相撲クラブを見学してみませんか?

 

住用相撲クラブは、毎週火曜日、金曜日、日曜日に練習を行なっています。

火曜日と金曜日は17時から、日曜日は朝9時から2時間ほど練習を行なっています。

いつでも見学に参加できますし、練習に参加することもできます。子供だけじゃなく、保護者の方や観光客の人も参加できます。見るだけでも十分迫力がありますが、一緒に四股を踏めば、きっとより相撲の面白さが分かるはずです。

今まで興味のなかった人にこそ見てもらいたい!奄美大島の文化の新しい一面を感じることができますよ!!

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この記事を書いたフォトライター

田中 良洋

田中 良洋

映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。

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