奄美大島の南部、古仁屋港からフェリーで20分ほどの島、加計呂麻島。
奄美の奥座敷と呼ばれるこの島で2015年秋に加計呂麻島在住の女性が立ち上げたアパレルブランドがあります。
ブランドの名前はILAND identity(アイランドアイデンティティ)。
ILAND identityという言葉は、「私の島」「私の世界」、「同一性」「個性」「国、民族、ある特定集団の帰属意識」「特定のある人そのものであること」「あるものがそれとして存在すること」という意味を持たせたそうです。
ブランドの立ち上げのきっかけは、バニラエアの就航により増えた20~30代女性の観光客から、「おみやげを買って帰りたいのに、欲しいと思えるものがない」という声を聞いたことがひとつ。
そして、人口がどんどん減っていくために小中学校の統廃合が進んで行くことや、島の伝統行事が立ち行かなくなったりする島内の現実を見てきたからだとか。
ブランドを立ち上げることで、すぐに大きな雇用を生むことはもちろん難しい。
けれど、現在、島に住み、島を愛する女性たち同士で、自分たちが素敵だと思えるものを楽しみながら作ることで、「遠い」「不便」「何もない」「お洒落もできない」「面白そうな仕事もない」という従来の離島のイメージを少しでも変え、「島だからこそ、できること」を感じてもらうのがブランド立ち上げの目的だそうです。
商品はTシャツ、ブレスレット、シュシュ、トートバッグなど。
加計呂麻島を訪れ、島の魅力に見せられたイラストレーター山崎ひかりがイラストを担当した、加計呂麻島の集落の諸鈍(しょどん)、徳浜、奄美大島と加計呂麻島の間の海、大島海峡をイメージしたTシャツ3種類。(各4,500円)
国内では奄美・加計呂麻島でしか作ることができないハート型の真珠、マベパールを使用したブレスレット。デザインは加計呂麻島在住のアクセサリーデザイナーeriが担当。(3万4500円:完全受注生産)
同じく加計呂麻島在住の女性が作る染め物ブランド、自然布処ののやとコラボレーションした、シルクを島の樹木フクギで染め上げ、加計呂麻島の貝殻をポイントにしたシュシュ。(各2,500円)
同じく加計呂麻島在住の女性が作るアクセサリーブランドpaimomamaが作る、加計呂麻島の貝殻やサンゴを使ったドリームキャッチャーをチャームにしたトートバッグ。(3,800円~)
Web上で見られるカタログに登場するモデルはすべて島在住の女性。撮影地も、そのモデルたちが住む加計呂麻島の集落です。
“ねぇ、わたし達には何ができる?
そう、自分に問いかけてみよう。
それは、窮屈なことなんかじゃない。
本当は、とても楽しいことなんだ。”
“船が港に着く。
もうすぐ、あのひとが帰ってくる。
「おかえり」って、何度でも言うよ。
「ただいま」って、何度でも聞かせて。”
“船やSUPじゃなきゃ行けないビーチ、
陸からは見えない滝とか湧き水。
見えているものだけが、すべてなんて、嘘。
見えないものは、いつも、そこら中にある。”
Webカタログでは、島に住む女性の気持ちが小説仕立てで展開されていきます。
島を愛する女性たちの気持ちを、Webカタログで、商品で、感じてみてくださいね。
ILAND identity
販売先:加計呂麻島のいっちゃむん市場(Tシャツ、トート、シュシュを販売)
住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町瀬相742-39
TEL:0997-75-0290 営業時間:8:30~18:00 定休日:なし(1月1~3日は休業)
Webショップ:https://identity.buyshop.jp/
この記事を書いたフォトライターPHOTO WRITER
三谷晶子
三谷晶子さんが書いた他の記事を見る作家、ILAND identityプロデューサー。著作に『ろくでなし6TEEN』(小学館)、『腹黒い11人の女』(yours-store)。短編小説『こうげ帖』、『海の上に浮かぶ森のような島は』。2013年、奄美諸島加計呂麻島に移住。小説・コラムの執筆活動をしつつ、2015年加計呂麻島をテーマとしたアパレルブランド、ILAND identityを開始。